美瑛富士小屋ウンコ拾い奮戦記
             〜美瑛富士清掃登山の報告〜    2004年9月5日(日)実施


 美瑛富士の避難小屋にはトイレが無い。ここは、オプタテシケ山登山や十勝連峰と大雪山縦走の

中継地点で利用者も年々多くなっている。登山愛好家が増えていく中、トイレ問題はどこの山でも

深刻だ。昨年のデータによると小屋で宿泊した人は約500名。小屋の周りにテン場があるので、

それを超えると思われる。誰も好き好んで、山を汚したいとは思っていない。でも生理現象には勝

てない。結局、山のどこかで申し訳ないと思いながら用を足す。これが少ない人数だったら、熊の

糞と同じで土壌が分解、自然に帰してくれる。しかし、特定の場所にし尿やテッシュが集中すると、

気温が低い高山では、土壌分解されない。また、テッシュは見た目もよくない。せっかく美しい山

に来たのに喉につかえる感じで、嫌な思い出が残ることになる。ウンコは大腸菌もあり、雨で沢や

沼に流され、自然環境が汚染されることが危惧されている。

 前置きが長くなったが、今日は「美瑛富士避難小屋の清掃登山」。山のトイレを考える会とそれ

に賛同していただいた計17名が参加。登山道と小屋周辺の清掃登山を通じて山のトイレ問題の解

決に向け、検討していくことが目的だ。毎年のトイレデーはテッシュやゴミの回収はしてくるが、

ウンコまでは回収した事はない。今回はこのウンコ回収と担ぎ下ろしがメインだ。

 朝7時に太陽輝く白金温泉登山口に集合。リーダーの説明を受け、それぞれ山のウンコの思い出

話を交えて自己紹介。まずは、「楽しんでしましょう!」の横須賀代表の挨拶で、当会の幟2本を

持って登山開始。開始後まもなく、会員のKさん、大がしたいと言うことで、さっそく携帯トイレ

を使う。紅葉が見事だ。途中の天然公園で小休止して小屋を目指し出発。結構長い距離で辛い。

 小屋の約200m前で先頭のリーダーが叫ぶ。すぐ登山道脇に見本となるような立派なウンコと

テッシュ。さっそく写真を撮り、リーダーが目を背けてゲット。小屋までの登山道脇にテッシュが

あっちこっちに見え、こんなに勇んで行って、もしウンコが無かったらと言う不安も吹き飛び、み

んな俄然目の色が変わる。午前11時に小屋に到着。リーダーから二人一組の班構成と回収エリア

の割り振りの後、各々簡単な昼食にする。横須賀代表はテント式の携帯トイレブースを設置する。

これで携帯トイレも安心して使える。

 さぁ、いざ出陣!軍手に火挟み、ショベル、そしてスーパーのビニール袋を持って散らばる。さ

っそく、あちらこちらで、悲鳴のような歓声のような叫びが聞えてくる。「うわぁ!凄いや」「蛆

が湧いているよ」「なかなか粘って取れないよぉ」などなど(ごめん、これから食事の人は読まな

いで!)。ハイマツの陰で、背丈の短い高山植物帯や草の所が狙い所だ。トイレ道は放射状に走っ

ており、登山道と間違えるほど。ウンコやテッシュの範囲も小屋から数百メートルとかなり広範囲。

会員で研究者の二人が、各方角のウンコ回収地点の最長距離をスコープのようなもので測定する。

GPSを持ったYさんは、各ポイントを打ち込みデータを取る。便利なものだ。

 テッシュもウンコも殆ど回収したので小屋前に集合、大きなゴミ袋に纏める。個々にテッシュと

ウンコの数を申告した結果、テッシュは142箇所、ウンコは51盛りだった。ウンコの単位は何

にするか議論。「○箇所」「○本」「○山」「○盛り」などの意見が出たが「盛り」に決定。これ

が日本の標準になるかな…。

 昨年のトイレデーもテッシュを約140箇所拾った。だから今回のテッシュはその後のものだ。

今回、綺麗になったが、明日から再びテッシュとウンコが蓄積され、分解しないで雨や雪で流され

ることだろう。

 当会は山小屋のある所には、トイレが必要と考えている。今回の活動結果を踏まえて、地元の各

団体とコンセンサスをとり、行政に対しトイレ設置に向けた意見提起をしたい。維持管理が最大の

ネックになるが、なんとか維持管理するいい方法はないだろうか。今後も山を汚さない、いつまで

も美しい北海道の山を目指し活動を継続していきたいと思う。

 紅葉が美しく映える中、ウンコやゴミを担いで、みなさん充実感いっぱいで下山。事故もなくて

よかった。下山後、白金温泉で汗を流し三々五々帰宅の途についた。

 今回は美瑛山岳会とウンコの処分で美瑛町にお世話になりました。改めて御礼申し上げます。

                           (山のトイレを考える会 仲俣善雄)

DUM