美瑛富士避難小屋に似合うトイレ
~山のトイレを考える会(案)Ver.1~


 美瑛富士避難小屋にトイレを設置する場合には、どのようなトイレが最適なのか、全国のバイオトイレの導入 事例、環境省が平成15年から実施している「山岳トイレ技術の実証試験事業」の公開情報等を参考に3年がかり で検討してきました。特にバイオトイレが正常に稼動していない失敗事例から管理人がいない美瑛富士避難 小屋において、極力メンテナンスに稼動がかからないトイレは何か模索してきました。
 第10回山のトイレフォーラム資料集に掲載した説明文とトイレ(案)を以下に紹介します。
 これからも、随時リファインして、いざ設置する時に当会として最適な案が提示できるように準備して まいりたい思います。


(以下第10回フォーラム資料集の投稿文です)

1.案を提示するまでの経緯

 第8回、第9回山のトイレフォーラム資料集で「美瑛富士避難小屋に似合うトイレ(私案)」を投稿させていただいた。その中で、管理人の居ない美瑛富士避難小屋に似合うトイレについて「固液分離・屎貯留ヘリ搬出・尿土壌処理方式」を提案した。
 2008年10月7日に北海道大学の船水尚行教授を講師に招き、当会の運営委員等16名と山のトイレの勉強会を開催した。その記録を本資料集の18ページに掲載したが、私たちにとって大変有意義な勉強会で、多くの知らない知識、新しい技術、考え方を教えていただいた。
 基本となる方式に変更はないが、今回は、「美瑛富士避難小屋に似合うトイレ(私案)」について、船水先生に指摘された点を反映、さらに当会の運営委員で議論した結果を、「山のトイレを考える会(案)Ver.1」として提示することにした。
 北海道の山岳トイレは本州の大規模な営業小屋と異なり、登山者も比較にならないほど少なく規模も小さい、また自然環境も厳しく管理人もいないので、バイオトイレの導入に不安があり、既設の「貯留浸透汲取りトイレ(ポットントイレ)」が適しているのではないかとの意見もあった。しかし、ポットントイレの環境省認可は非現実的であることから、今のところ本方式が最も似合うトイレでないかの結論となった。

2.山のトイレを考える会案(Ver.1)

 今回の提示案「固液分離・屎貯留ヘリ搬出・尿土壌処理方式」を別図に示す。第9回フォーラム資料集の私案からの変更点は次のとおりである。

(1)男性用小便器を1基、同室に入れた。
(2)排気筒はできるだけ長くすることで、自然対流による換気を強くし、臭いを軽減、大便の乾燥化を促進させる(大便のヘリ搬出期間を長くさせる)。
(3)大便貯留用カートリッジを人力で大便搬出が可能な仕様にする。
(4)小便による尿石の付着とアンモニア臭の発生をできるだけ軽減するために便器の材質を検討する。(デンマークのユリダン社が開発した水を使わないグラスファイバー製の男性用小便器「ユーリ」は、日本国内でも使われている)

 課題は尿の土壌処理である。土壌処理した尿を地中に浸透して問題ないのか、実際に国内で採用している山小屋トイレの水質調査データ等を参考に検討したい。多くの人の意見を反映した美瑛富士避難小屋に似合うトイレが、一日でも早く設置されることを切に願うものである。

仲俣善雄(山のトイレを考える会)

(別 図) Pdfファル 


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