平成14年11月1日 北海道知事 堀 達也 殿 山のトイレを考える会 代表 横須賀 邦子 要望書 山岳トイレ対策における携帯トイレ無償配布の継続と、 貯留式トイレの影響に関する実態調査実施について 北海道の山岳地では、希少な動植物の生息地である高山帯の登山道や避難小屋、野営地の周辺 に、登山者が放置した屎尿や紙が散乱しております。長期的には水質や植物の生息環境への影響 が、短期的には山岳景観や植物の踏みつけ等への影響が懸念されます。当会は2000年より、市民 団体として、一般登山者への啓蒙活動、行政との意見交換、関係者を集めたフォーラムの開催な どを行ってきました。 北海道におかれましても、避難小屋の屎尿のくみ取り、登山口へのバイオトイレの設置調査、 携帯トイレの普及と対策を進めており、非常に心強いことだと認識しています。しかし、大雪山 南沼野営地や美瑛富士避難小屋といった利用が集中する宿泊地にトイレの設置が実現していない こと、高所で寒冷な気候の高山帯で有効な処理方法が見いだせないこと、携帯トイレの配布と回 収が整っていない段階での普及は不十分ではないかといった疑問もいだいております。 以上の観点から、今後の山岳トイレ問題解決に向けた一層の協働のために、次の事項を要望し、 その回答を御願い致します。 1.上ホロカメットク避難小屋トイレくみ取り、携帯トイレの配布・回収、登山口バイオトイレ 設置等、今年度の諸対策実施状況および結果の評価を公表すること。 2.大雪山等の山中のトイレには、ゴミが多く混入するなど、マナーの悪い使用が行われていま す。これらのトイレに、山岳トイレの問題点の情報、ゴミを入れないこと、使用済みの紙の 持ち帰りの協力を求めることなどを呼びかける看板の設置を行うこと。 3.当初、3年間と予定されていた携帯トイレの無償配布・回収を、あと5年間継続するととも に、携帯トイレブースの設置、使用済み携帯トイレの回収体制の整備促進に積極的に取り組 むこと。 4.山岳地に放置された屎尿や紙、及び既存のトイレが、高山帯の自然環境(土壌、水質、植生 など)に及ぼす影響に関する調査研究を、影響を評価しうるだけの期間実施すること。 5.貯留式やバイオトイレなど、高山帯での様々なトイレ方式について、周辺環境への影響やコ スト、メンテナンス等の面から、北海道の山岳地への適応可能性について、総合的に評価す る調査研究を実施すること。 6.山岳地におけるオーバーユースの評価および施設整備の基礎的情報である登山者数の把握に ついて、その実施体制および方法についての調査研究を実施すること。 7.山岳トイレ対策の実施にあたって、関係機関他、当会をはじめとした市民や登山団体の意見 を聴取する機会を設け、相互の意見交換に努めていただきたいこと。 以上