第9回山のトイレを考えるフォーラムの報告

(2008年3月)

(写真撮影:山のトイレを考える会 西田弘氏。スナップ写真も同様)
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平成20年3月8日(土)13時30分~17時30分 札幌市エルプラザ4階 中研修室 参加者:56名

テーマ:登山者が山のトイレ管理にどう関わるか
      ~美瑛富士避難小屋にトイレを作ろう!~


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01.表紙

02.目次

03.巻頭言:第9回フォーラム開催にあたって 岩村和彦(山のトイレを考える会 代表)

04.2007年 山のトイレを考える会 事業報告

05.山のトイレを考える会ニュースレター NO.8 2008.1.15

06.自然公園制度の「今」と「これから」-尾瀬国立公園を例として- 加藤峰夫(横浜国立大学)

07.幌尻岳のトイレ問題とその対策 高橋健(日高山脈ファンクラブ)

08.現代山の厠事情Ⅱ(あれから10年) 大沼進(富山県立山センター)

09.山岳トイレの課題と展望 穂苅康治(北アルプス・槍ヶ岳山荘)

10.北岳公衆トイレについて 穂坂二郎(北岳公衆トイレ運営委員会 会長)

11.富士山環境保全対策連絡会資料 森下一祥(静岡県県民部自然保護室)

12.福岡県山岳連盟の自然保護の取組みと福智山バイオトイレ 西守信二(福岡県山岳連盟)

13.バイオトイレの仕組みと自然公園での活用について 橘井敏弘(正和電工㈱)

14.進化するバイオトイレ 今村とし子(大央電設工業㈱)

15.山岳トイレ・サンレット(土壌処理)の現状 長谷川伸(㈱リンフォース)

16.北海道の山トイレ問題の現状と課題 仲俣善雄(山のトイレを考える会)

17.平成19年度 黒岳トイレの運用状況について 大道具一(北海道上川支庁・環境生活課)

18.2007利尻山のトイレ対策について 住吉直人(利尻富士町産業建設課)

19.美瑛富士避難小屋に似合うトイレについての再々考 仲俣善雄(山のトイレを考える会)

20.知床・羅臼岳での携帯トイレ利用促進をめざして 村上隆広(斜里町役場環境保全課)

21.利尻山における携帯トイレの普及状況と利用者の意識 愛甲哲也(北海道大学大学院)

22.2007本州の山岳トイレ状況と北海道への展望 小枝正人(山のトイレを考える会)

23.(前回)第8回山のトイレを考えるフォーラム議事抄録 山のトイレを考える会

24.編集後記 小枝正人(山のトイレを考える会)

フォーラム議事録(要旨)

1.開会挨拶 司会 上井博志

2.代表挨拶 岩村和彦

 昨年の4月から代表をやっている岩村です。最初に本来ならば一緒に活動しているであろう鈴木和夫さん、昨年の11月、カミホロの雪崩で亡くなった4名のうちの一人です。昨年の7月14日にくしくも鈴木和夫さんと一緒にカミホロ避難小屋トイレに注意看板を取り付ける活動をしました。非常に残念でなりません。 (ここで鈴木和夫さんのご冥福を祈って1分間の黙祷)
 2000年6月に当会が発足してから8年目。一体どこまで山のトイレ問題がよくなったのだろうか。みなさんもそれぞれの思いがあると思います。私も私達が望んでいた山岳環境には、まだまだ程遠いと思っているのが実態です。ただ、少なくとも昔よりは、だんだんゴミは少なくなりましたし、山に行って使った紙はそのまま放置してくるのは、あたり前でしたけど、最近はかなり改善してきたように感じています。ただ、100%には程遠くまだまだです。  活動の当初は3~4年すれば、この会は解散できるのかな、と前代表の横須賀さんは考えていたそうです。そう言いながら8年目を迎えました。  本当はこの会は早く無くなった方が勿論いいのに決まっていますが、そのためにも、これから活動して行きたいと思います。それから今日、ここに集まりの皆様は、少なくともこういうことに関心のある方ばかり集まっていると思われますので、今日、いろいろと思ったこと、感じたことを是非、皆様の所属する山岳会なり、関係機関に戻られ発信していただければ大変ありがたく思います。
 このフォーラムで有意義な時間を共有したいと思いますので、みなさま是非、発言していただけるようお願いします。

3.活動報告 仲俣善雄  (省略)    ※ 内容はフォーラム資料集参照

4.講演1 横浜国立大学教授 加藤 峰夫氏
  (演題)自然公園制度の「これから」-新・尾瀬国立公園を例として-
   ※ 講演内容はフォーラム資料集参照

5.講演2 日高山脈ファンクラブ事務局長 高橋 健氏
  (演題)幌尻岳のトイレ問題とその対策
   ※ 講演内容はフォーラム資料集参照

6.デスカッション

(コーディネーター) 山のトイレを考える会   岩村和彦

(横須賀)
 幌尻山荘のバイオトイレ期待していた。ただ、黒岳のバイオトイレの件があるので、順調に動くのかと。利用者数、気象条件、地理的条件、水が供給できるか、発電機の大きさが適正なのか、総合的に考えられた上で設置できればいいなと思っていた。ところが見事に外れているんですね。おしゃっているとおり、トイレが設置される前の事前調整が非常に短期間だった。それは黒岳のバイオトイレも同じで、黒岳は1日の利用者が最大200人と想定していたが、800人となった。バイオトイレの機能が、発電機の容量だとか、風力発電があまりにも風が強い所で壊れたとか、ソーラーが充分機能していたとしても蓄電池容量が少なくて働かないだろうとかが、分からなかったんですね。多額の予算をつぎ込んで、幌尻も黒岳バイオトイレもやっぱり、うまく稼動していない訳です。非常に大きい金額なので、やっぱり惜しいなぁと。
この事前調整について日高ファンクラブの方は、どのような方法が一番事前調整し易いのか、例えば、そこに参集する方々の団体とか、具体的にこんな人が来るといいねと言う話をちょっとお聞きしたいんですけど。

(高橋健)
 黒岳ほどではないのですけど、確かにうまく稼動していない様に今の所は見えるんですね。ただ、バイオトイレについては、1回、入れ替えているのですけど、私の感触としては、うまく動いている気がしている。
 何が問題かと言うと、幌尻の場合は1基しか設置できませんでしたから、どうしても利用者が集中する時間帯では、1基で間に合わない。そのために仮設トイレを設置して、汲み下ろすことを考える。今までは地下浸透式で土壌には影響があるんですけど、水分が地下に浸透していた分、大便しか担ぎ下さなくてよかったが、今度は貯留式仮設トイレになって水分も担ぎ下さなければならないと言うことで、本当は仮設トイレに入っているものをバイオの処理層に入れて分解しょうと言う目論見があって、何回か実験的にやったのですけど、それをするとどうしてもバイオがうまく働かないと言うことで、目論見は外れてしまった。
 水力発電については、今1.5kwの出力が得られていますので、1基であれば700Wぐらいでいいので、問題なく稼動しています。しかし、基数を増やすと現状では無理。やはり事前調査が不備というか、結局、お金をかけるのであれば、はっきりと基数を決めて、それに対処できる電力設備を設置すべきだと思うんですね。やはり経費の大きなウェートを占めているのは、ヘリ代なので、またこれを運ぶとなると二度手間になりますよね。
 まぁ、予算が当たってしまったので、これが幸か不幸か。予算が幌尻にこないで、どこかの山岳地バファゾーン事業に使われていれば、その間、日高としては検討をもうちょっとやって、まぁ、町の単独予算で貯留式が設置されて、5年後を目途にと当時は言っていましたから、その5年の間に検証して、どういうバイオトイレが必要かと検証ができた、今となってはそう言えるのかなと思います。

(藤井)
 バイオトイレの話、なぜ、自己完結にならないのですか。つまり糞尿を運ぶとおっしゃいましたが、なぜ、そこで全部処理できないのですか。技術的に可能なんです。有機物を全て分解して、その過程で全部蒸発してしまう。そういった技術が既に確立している。それを知らない行政…?レベルが違うと思いました。

(高橋健)
 バイオトイレはその場でキチント処理されています。バイオトイレのほかに工事現場用の仮設トイレが2基設置されています。同じ時間帯に登山者の利用が集中するため、バイオトイレは1基で足りないので、仮設トイレを使って貰っています。

(藤井)
バイオトイレを増やしたら問題は解決するのではないか。

(高橋健)
そうですけど、今、1000万円をかけてバイオトイレを設置しましたから、あと何千万円か分からないけど、お金をかければ確かに解決されるんですけど、それを誰が負担するのかと言うことです。

(岩村代表)
 資料集に書いてありますけど、本来は2基設置する予定だった。それがヘリ代にかなりお金がかかり、限られた予算の中で1基になった。昨年、私も幌尻山荘のウンコ担ぎに行き、バイオトイレを見たんですけど、確かに見た感じだと私は素晴らしいなと。中のオガクズも…、まぁ、あれはハッキリ言って、管理人さんが相当気を使って管理してくれているから、あの状態だったのでしょうけど。50人~90人の宿泊者が一斉に朝トイレに行ったら、あのトイレ1基じゃ全く持たないなと言うのかよく分かりましたので、仮設トイレを併用せざるを得ない。ベストでないにしても、現状のところで言うと併用せざるを得ないと感じた。

(岩村代表)
利尻は携帯トイレで、全国的にも先駆的な位置づけになっているのかと思いますけど、そこで稚内の自然保護官の岡田さんに、新しい利尻の利用ルールについてお話をして頂けたらと思います

(岡田)
 稚内の自然保護レンジャーの岡田と申します。利尻山登山道等維持管理連絡協議会が2月に出しました「利尻山登山ツアーを実施する際の配慮事項」というのについて紹介させていただきます。表と裏があり、表についてなぜ、こういうのを出したかと言うと、実は背景に利尻山の登山道浸食があります。深い所では、人の背丈以上に掘れた登山道があります。その原因が、同じ時間帯に同じ場所への登山者の集中が原因になっている。人の集中が裸地を作り、その裸地が雨によって浸食をさらに加速させている。また、弱い土壌がある。人による影響を少しでも減らそうと言うのが、この配慮事項の内容であって、そのための方法論として、まず一つに一番影響の大きい、登山ツアーに対してご協力願おうと。
 その方法として、一つは、1グループの人数、1パーティの人数を適正化して欲しい。ツアーに対して募集段階から利用ルールを事前案内して欲しい。そして実施前、登山開始前に再度、案内してもらいたい。また、登山中に至っては、リーダーであるガイドさんが利用ルールを普及していただきたい。これによって人為影響による登山道の浸食は少しでも減らそうと言うのが狙いです。

(岩村代表)
岡田さん、ありがとうございました。利尻富士町役場の住吉さん、補足をお願いします。

(住吉)
 私は利尻生まれ、利尻育ちです。山があり、海があるのは当たり前の環境で育ちましたが、今までは山にはあまり登ったことはありません。この仕事になってから登っています。私は「利尻山登山道等維持管理連絡協議会」の事務局をやっていますけど、岡田さんが申しましたとおり、利尻ルールを徹底周知していきたい。補足ですけど、旅行業ツアー登山協議会と言うのが全国にあり、そこの事務局にもパンフを送っています。道内のアウトドア協会会員のみなさまにも送っている。山岳ガイドさんにもこれから情報提供したい。

(岩村代表)
利尻は初め携帯トイレは無料配布していたが、途中から有料になりました。この1~2年の携帯トイレ利用状況はどうですか

(住吉)
 フォーラム資料のP103からトイレ対策について載せています。携帯トイレは平成16~17年無料、平成18年から有料化しました。観光はH14年がピーク(25.6万人の入れ込み)に右肩下がりに落ちている。H19年は20万人を切るのではないか。登山者数は1万人弱で推移しており、あまり減っていない。18年4946個、19年は5644個の販売数。回収率はH18年48.4%、19年は38.3%と落ちているが、販売数は伸びていることは、登山者の認識が高まっているのかと。登山者一人一人の環境への配慮だとか認識が向上していると捉えている。
 資料の中にもありますけど、携帯トイレブースもテンド式→FRP一体型→木造組立式と変えてきている。既存の携帯トイレブースが破損したり、老朽化が激しいため、環境省さんの直轄事業で頑丈な木造組立式の携帯トイレブースを配備した。経費については、資料P106を参考にしてください。

(岩村代表)
ありがとうございました。今は木造に全てなっているのですね。携帯トイレの投棄などの問題は起きていませんか。

(住吉)
有料化されてから投棄が懸念された。全く無いとは言えませんが、思ったより少ないのかなと。山岳会等で年何回か清掃登山をしてゴミの回収をしている。

(岩村代表)
 当会でも会員により携帯トイレに対する考え方が区々ですけど、少なくとも現状は携帯トイレだけでOKだとか、トイレ設置で全て解決するとは感じていません。それぞれ山の環境とか高さとかに応じて、併用なりを考えていかなければならないと考えています。
 当会の仲俣の「美瑛富士避難小屋に似合うトイレの再々考」と題して資料に載っていますので、説明をしてもらいます。

(仲俣)
 第7回と第8回のフォーラムに引き続き、第9回でも美瑛富士避難小屋に似合うトイレについて更に考えました。P111の絵を見てください。便器は和式で固液分離、ウンコはカートリッジに貯留してヘリで運ぶ。本州の山小屋と違い、利用者数が少ないので、500リットルのカートリッジで10年はもつのかなと。尿は土壌処理。
 第8回で土壌面積が少なくて済む「人工土壌ボード」を提案しましたが、メーカーが継続してボードを提供してくれるか不安もあり、本州の山でかなり実績のあるリンフォースさんの土壌処理の方がメンテナンスが難しくなくいいのかなと。リンフォースさんの中台会長さんに聞くと、土壌処理面積も幅1m、長さ2mぐらいあれば綺麗に浄化して垂れ流ししても問題ないとのお話でした。
 昨年講演していただいた、槍ヶ岳山荘の穂苅さんが営業している宿泊者定員が150名の大天井ヒュッテ(北アルプス)は、固液分離、大便はカートリッジ貯留でヘリ搬出、小便は土壌処理で清水にして流しているとのお話があります。
 P111を見ても分かりますが、第9回では換気ファンや照明に使い電気をソーラーで発電する設計でしたが、今回は止めました。なるべく機械部分が無いトイレにしました。
 あと管理主体が決まれば、それほど専門家でなくとも登山者で清掃ができる仕組みにすると、管理主体に負担がかけずにできるのではないかと考え私案を考えました。清掃用の雨水貯水タンクを設け、便器の汚れ、特に小便で尿石が付くと汚いので、清掃ができるようにしたいと思いましたが、当会の小笠原さんから、蚊とかボウフラが湧くとの指摘があった。なるべくメンテナンスのかからない環境配慮型のシンプルなトイレを更に皆様や専門家のアドバイスを得ながら考えていきたいと思っています。

(岩村代表)
幌尻山荘の話もありましたが、電気を使うとか、何を使うとかになると、厳しい山岳環境では、結局メンテナンスが大変になる、仲俣さんの案では、設置してから故障修理とかが極力生じないシンプルなトイレになったんだなと思います。

(仲俣)
実際に北アルプス涸沢の公衆トイレでこの方式を使っていて、少し違うのは、土壌処理した清水を地下浸透にしないで、雨水とともに溜めて、それを足踏みポンプで上げて、簡易水洗の洗浄水として使っている。山小屋は2つ、野営地が一つあり、公衆トイレが2つある。ここに最大1日3000人が泊まる。スケールが違います。

(岩村代表)
環境省はトイレ設置に前向きだが、維持管理は委任したい意向。登山関係者内には維持も含めた国等の管理が必要との意見も多い。 当会では本年1月に関係機関・山岳会等にアンケートを送付した。趣旨などを当会の小枝より説明する

(小枝副代表)
 先程加藤先生が講演されたように、これからは協働・共生を考えながら進めてゆく必要があるだろうと考える。 環境省は三位一体改革の下、国立公園の管理は省直轄の方針を発表した。美瑛富士トイレも整備計画内に含まれている。設置は省主体で進めるが、維持管理についての考えを明確にしてほしいとの要望があった。明確化すれば整備が具体化しやすいと聞いている。
 これまでは地元山岳会主体での管理を考えていたが、地元の方々だけでの維持は難しいのが現状。 他地域も含めた山岳団体・登山者・ガイド等の協力により清掃を分担することはできないか、アンケートにて意見を頂いた。結果を整理中だが、フォーラム参加の皆様に、維持管理の分担が可能かどうかぜひ意見を頂きたい。

(岩村代表)
大雑把ではあるが週一回の清掃だと、4ヶ月で16回。16の団体・個人による協力があれば、美瑛富士トイレの維持が可能ではないかと考える。

(藤井)
我々は憲法で文化的生活を保障されている。登山も同様で、維持管理の費用は国が負担すべき。無駄な税金の使い方を止めれば、費用のねん出は容易なはず。権利を有しているのだから、保障を強く求めなければならない。

(岩村代表)
維持管理も含めて、国が負担すべきとの意見ですね

(加藤教授)
 国が負担すべきとは考えるが、それでは先に進まないのが現実。我々がすべきは、環境省・林野庁が財務省から予算を認められやすいように、バックアップする。そのためには現状の使途の不備を指摘し、より良い予算の使い方を提示するとよいと思う。現状の予算を調査し、どれだけ予算を追加すればよいかを、マスコミを使って公表してはどうか。 山岳会も含めて市民がボランティアで維持管理に協力するのは厳しい。 ガイド資格保持者にインセンティブを与えるとともに、清掃活動等の参加も資格維持の条件としてはどうか。

(藤井)
やはり、健康的な生活保障は義務であり、国が負担すべきと考える。

(加藤教授)
海岸の清掃も国・自治体が負担すべきとの声がある。また道路整備の要望も根強い。しかし全ての要望を税金で賄えるのか

(岩村代表)
それぞれの立場・考え方があり、要望があること自体民主国家である以上正当である。しかし、今回のフォーラムで考えたいのは、意見を持つだけでは状況の改善は早急に見込めず、どうすれば前進できるのか。

(横須賀)
美瑛富士トイレ問題の検討は5年になる。署名は3ヶ月で2万7千筆集まった。作りたい要望の強さを実感し、具体策を模索した。国が負担すべきとの意見もあった。しかし、国の実施を待っていたら、いつになるかわからない。 登山者としてできることはないか、協力できることはないかを考えようとの、方向性を得た。国や登山者などそれぞれが、やれるべきことをやるのが良いと考える。

(北海道庁:福岡)
行政側も予算がなく、出来ることが限られている。山岳環境を改善する方向で、実施できるものからやっていく。

(上川支庁:大道)
皆さんがご存じのように、バイオトイレ等で必ずしもうまくいっていない。しかし失敗をもとに改善策を検討している。一般登山者からの協力申し出も頂き、我々の励みになっているとともに関心の高さを感じている。 行政・市民の皆さんの共生が重要と考える。

(小笠原)
 万計山荘は築45年で、空沼岳登山道途中の万計沼畔にある。林野庁から管理委託を受けているが、補助はない。 トイレは当初浸透式で、沼には大腸菌が多かった。市民から浄財を集め便槽を導入し、EM菌を散布する、風通しを良くするなどの対策で、3年で大腸菌・悪臭・蝿が激減した。 トイレ脇に募金箱を設置したところ、年間20万円程度募金があった。 山荘裏まで林道が通じ、バキューム車が入れたが、林道が崩壊しつつあり、今後もバキューム車が来れるかどうかが問題となっている。 トイレを設置するならば、きれいな、快適なトイレを作って頂きたい。EM菌は有効である

(美瑛山岳会:内藤)
 今回環境省が設置した場合、管理は地元がやらなければならないとは思っているのですが、高齢化もしてたりたしかに大雪のあり方を検討する会の中でもそれぞれの登山口を持つ自治体の垣根を越えて大雪を管理していくと言うのもあるが難しい。美瑛の場合も小屋の管理について会員から不満の声も出ている。ただ、山のトイレを考える会の愛甲さんとも話をしていて少しずつ進んでいるなという実感もある。美瑛富士の避難小屋の内部も湿気でカビが生えたりしてあと何年かで穴があくんじゃないかと心配もしているが。
 われわれも年に2回くらいいくのだが、使い終わったボンベや水の入ったペットボトルを次の人のために残してくれるのは困る。降ろしている。登山者がきれいに使ってくれ掃除もしてくれるのはありがたい。

(金井)
秀岳荘の金井と申します。 山のトイレを考える会は以前から資料では知っていたが、参加するのは初めて。トイレ問題の解決もすすんできているなと感じました。私たちもお手伝いできることがあれば協力していきたい。

(栗原)
基本的に国がやるべきだと言う意見もあったが、そんなことを言ってても先にすすまないですから、山というのは遊びですから、楽しんでいる人がまずやるというのが基本なんじゃないのか。個人的にはただ山に登っているより、トイレ掃除は楽しい作業ですから特に汲み取りはスリル満点ですからぜひ参加してください。

(高橋健)
 山岳会や登山団体に管理をお願いすると言う部分ですが、私自身も山岳会に入っていますがほとんどが役場職員が会員で作られている。今は高齢化で、町内の登山道の整備や町民登山会をやってきたんですが、できない。じゃどうするか、役場でできないかと言うことで、「日高山脈登山会議」を立ち上げて登山道の整備をやることになった。その中には日高支庁、森林管理署、日高町役場、北海道山岳連盟が参加してる。役場の立場からはできれば登山者の方に登山道整備をやってもらいたいということで土日に設定したが、実態は役場職員と森林管理所の職員しか協力してもらえなかったということがあります。もともと行きたい山があるのに拘束をして今週は登山道整備やトイレ掃除をしてくださいと言ってもどれだけ協力してもらえるか難しいんじゃないか。それより山のトイレを考える会に入ってきた方とか小屋を利用した方とかにお願いしたほうがいいのではないか。

(横須賀)
それはそうだと思う。ボランティアってつらいものだとか純粋な理想のためにやるというより楽しんだほうが勝ちですよね。外国でもここに来た人は道路の補修ももするんだよと石を担がされたり、そういうボランティアって世界にけっこうあります。トイレを作ってその管理主体となったらたぶん年に一回くらい「オプタテシケに登ろう」ツァーをやってそうやって募集すると「わー行けるんだ」という参加者が集まるかもしれない。そのときにトイレを清掃してもらってこういう管理は市民がやっているんですよと実感してもらうのも楽しくて勉強になるツァーだと思う。

(高橋健)
ガイドの方々でそういうツァーをやっていただけると美瑛富士の問題も本州の方に 流れるし、いいのかなと。

(横須賀)
去年は高原温泉の登山道補修に山岳ガイド協会として46名が参加して、ガイド協会も少しづつボランティアしよう機運が上がってるんで議題にあげようと努力しようと思っている。

(加藤教授)
 協調協働と言うのは大事でそれをしないと日本の国立公園自然公園は持たんとは思いますが、ただ、協調協働ということで環境省や林野庁といった大きな行政主体が逃げてはいかん思うんですね。レンジャー個人個人が一生懸命やっているのはわかるが、国の組織として環境省、林野庁、北海道などの大きな行政主体がやるだけやってでもやっぱり人の土地なんだからできないんだよとかね、自然公園の管理にはこれだけお金がかかるという話になってきて、じゃあ関係業者ガイドさんとか地元の人たちが純粋ボランティアでというのがスジだと思う。
 例えば国が環境省や林野庁を通じて自然を守るとか楽しみたいという人にそれなりの先進国としてのサービスを提供しているかというとやってない。そんなにお金をかけずにやれることだってあるだろう。地域としてのルール作りも環境省も林野庁も関与しているのか。われわれも声を出していって、行政も一生懸命やろうとしているね、それでできないところはガイド協会であるいは個人で手伝って行きましょうかと。
 今皆さんが美瑛富士でやろうとしていることは理想的な話であって、その前に一段階二段階現実的なことの必要があるのではないか。いろんなところで行政をつついていくというのがあって、いろんな制度を使えばちょっとづつお金が出るんじゃないかと思う。環境省が美瑛富士避難小屋にトイレを作ってやるとそれを皆さんがありがたいことだと思うのは筋違いだと思う。
 国立公園でトイレがあるのは最低限、レンジャーの人手が足りないなら管理は手伝いましょう、しかし費用はきちんと計上して公園管理団体や市町村に補助金として渡すとかやり方はあるはず。純粋にボランティアとしてやられる前にそういったことをやったほうがいいのでは。
 それとあわせて携帯トイレの使用場所も地図にはっきり書いておくと携帯トイレを使うシステムができるだろう。そういう意味で個人としてではなく組織として自然保護に関わる国や都道府県の機関はまだ充分にやるべきことをやっていない。それはなにをやっていいのかわかってないから。なにをやって欲しいのかをこっちから言わなきゃダメなんですね。

(森林管理局:荻原)
 林野庁には一般会計で国有林以外の森林をどうやっていくのかを指導する行政機関と特別会計で国有林を管理する機関である森林管理局、署がありいまは赤字ですが木材を売った収入で自分たちの事業をまわすということで昭和22年からスターとしています。基本的には国有林というのは木材を生産する事業です。そのために必要な施設を作ってきました。例えばポロシリ山荘は実質は山小屋ですが作業員が休憩する小屋として作ってきました。
 ご存知のように木材の価格が安くなっていまして、血税をつぎ込まないとやっていけない。その中でも森林作りはやっていかなければならないので、森作りを生物の多様性も考えながら、今は森林の公益的機能を増やすという事で方針を変えている。森林を育てるための伐採をして収入を得ることもやるがどう育てるかもやっている。その中の一つとしてレクリエーションの森を指定したり歩道を整備したりしている。レクリエーションの森として指定されているところはバイオトイレも増えました。ポロシリについてはレクリエーションの森に入っていないのでトイレを作ることにお金をかけるのは難しい。かなりウルトラC的にやっている。
 皆さんの声が大きくなれば予算も取りやすいし対外的に説明しやすい。予算は誰が見ても納得できる使い方をしなければなりません。登山をする人より麓でキャンプする人が多いのでキャンプ場にお金をかけることになる。ここで山岳会も一生懸命動いている、要望もあるということなら説明がしやすい。ハコモノは国が作る管理は地元でというのは、地元が動いてくれたほうがお金がつきやすい。

(加藤教授)
 でも一方で国立公園の7割が国有林なんだから、林野庁が環境省にけんかを売ったらいいんですよ。自然公園を守っているのはどっちなんだと。そのお墨付きは国有林が伐採のためでなく国民の森にと法律が変わったことです。皆様の税金が入っているのだから麓から山の上まで気持ちのよい遊び場所を提供している、しようと思うのでとどんどん攻めていけば環境省も受けて立たなければならない。そういういい意味で自然保護とサービスの競争をしていけばいい。

(横須賀)
林野庁は広域的な国立公園の管理を充分やっていると思う。が、アピールしていない。

(加藤教授)
事故が起こりそうだから山に入れないじゃなくて事故が起こりそうな状況をなくすようにきれいに管理をして、ほらこんな場所も提供できますよ、とPRしないと。

(山口)
今回フォーラム参加は初めて。何かお手伝いしたいと思って参加してみた。一年に一回くらいなら清掃に行ってもいいなと思う。

(日本山岳会:鈴木)
フォーラムも山のトイレデーにも参加している。美瑛富士のトイレ場は目にあまるものがある。現実を考えると国が全面的にやるとは考えにくい。受益者負担ということを考えていったほうがいいのではないか。メンテナンスは人手がかかります。山岳会や連盟、ガイド各社に働きかけて分担する、利用料をという働きかけをしてもいいのではないか。

(藤井)
山にウォッシュレットがあって当然だ。

(女性)
皆さんの環境意識の高さが伝わりました。予算がつかない、予算があったとしても管理がうまくいかないということでコストがかからないトイレを考えていくことが大切だと思った。

(森林管理局:荻原)
国有林に入るときはかならず入林届に書いて登山して欲しい。

(横須賀)
入林届は貴重なデータなので、皆さん書きましょう。

(加藤教授)
尾瀬のトイレは全部ウォッシュレットです。電力会社なので電気があるということと紙をできるだけ使って欲しくないということ。

(岩村代表)
皆さんから見たら遅々として進んでいないように見えるけれども少しづつすすんでいきたい。皆様のご支援をお願いしたい。

                                            

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